①:SNSからのご相談「2年前に表替えした畳にシロアリが…」
「2年ほど前に畳の表替えをしたのですが、シロアリが出てしまって…」
そんなお電話をいただいたのが今回のご依頼のきっかけでした。
実はこのお客様、以前の施工は当店ではなく、別の畳店さんによるものでした。それでも「SNSで当店の施工事例を見て、丁寧そうだったのでお願いしたい」とお声をかけていただきました。とてもありがたいご縁です。
現地に伺ってみると、使用されていたのはダイケン製の和紙表。畳床は昔ながらの藁床(わらどこ)でした。
自然光の下で見ると、表面の凹凸が目立ち、見た目にも少しムラがある状態。加えて一部の畳にはシロアリの食害が見られました。

②:和紙表と藁床はなぜ相性が悪いのか?
ダイケンの和紙表は、近年人気の高い「カビにくく色あせにくい」高機能な畳表です。見た目も均一で、モダンな和室づくりにもよく使われます。
しかし、この和紙表には注意点があります。
それは「藁床との相性があまり良くない」ということ。
理由は次の3つです。
1️⃣ 凹凸が表面に出やすい
藁床は自然素材のため、どうしてもわずかな凹凸があります。その凹凸が和紙表に浮き出て、見た目や踏み心地に影響することがあります。
2️⃣ 湿気に弱く、カビやダニの温床になりやすい
藁床は稲わらを束ねて作られており、湿気を含みやすい構造です。和紙表はカビやダニの発生を抑える効果を持っていますが、床材が湿気をためてしまうと、その機能が十分に発揮されません。
3️⃣ 和紙表の性能が活きない
和紙表は、平らで安定した「建材床(木質繊維ボード)」の上に施工することで、撥水性・耐久性といった本来の力を最大限に発揮します。
藁床では、その性能がどうしても十分に出せないのです。
このため当店では、和紙表やセキスイ美草などの「機能性表」を希望されるお客様には、藁床ではなく建材床での施工をおすすめしています。
③:シロアリ被害部分の交換と今後のアドバイス
今回は、シロアリの被害を受けた畳3枚のみを新しく交換しました。
新しい畳は建材床を使用し、耐久性と防湿性の面でも安心できる仕上がりに。
以前使用されていた畳縁(へり)は当店では扱いがなかったため、似たデザインの縁をご提案し、全体の雰囲気を壊さないよう丁寧に施工いたしました。

お客様からは「以前より見た目もきれいで、踏み心地がしっかりしていますね」と喜んでいただけました。
畳は見た目が変わらなくても、床材の選び方ひとつで寿命や快適さが大きく変わります。特に和紙表などの機能性表をご希望の際は、床との相性も考えた選び方が大切です。
「どんな床材が自宅に合うかわからない」という方も、お気軽にご相談ください。現場の状況を拝見しながら、最適なご提案をさせていただきます。
✅まとめ
- 和紙表は見た目・機能ともに優れていますが、藁床とは相性が悪い
- 凹凸や湿気の問題で、性能が十分に発揮されない
- 長持ちさせるなら「建材床+和紙表」の組み合わせがおすすめ
畳は“見えない部分”が品質を左右します。
「どうせなら、長く快適に使える畳にしたい」
そんな想いに、私たちは親身にお応えします。

いわき市平 一級技能士のいる小野畳店






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