
【1】外れない障子にお困りのお客様からのご相談
いわき市小名浜にお住まいのご家族から、「祖母の家の障子が外れなくて困っています。襖と一緒に張り替えてもらえますか?」とご連絡をいただきました。
お話を伺うと、お住まいは築60年を超える立派な和風住宅。長年、大切に使われてきた和室が三部屋あり、雪見障子を含む障子が16本、襖が20本という大規模なご依頼でした。
古い建具は木の歪みや家全体の沈み込みによって動かなくなることがあります。今回は「障子が外れない」というお悩みがきっかけでしたが、こうしたケースでは、ただ張り替えるだけでなく、建具の微調整や建付けの点検も大切になります。
【2】ジャッキを使った丁寧な建具調整と張替え
現地で確認すると、確かに何本かの障子や襖がまったく動かない状態でした。
そこで、鴨居をジャッキでわずかに持ち上げ、建具を外してから丁寧に削りや調整を行い、再びスムーズに動くように仕上げました。
こうした作業は、ただの「張替え」ではなく、住まいの歴史に寄り添う修復工事でもあります。
特に今回は、縁のない高級襖が使われており、今ではなかなか見ることの少ない珍しいタイプでした。その美しい造りを損なわないよう、細部まで慎重に取り扱いながら施工を進めました。
本数が多かったため、2回に分けて納品。お客様にも負担が少なくなるよう日程を調整しながら進めました。
【3】部屋ごとに異なる表情を持つ和室へ
襖紙は、お部屋ごとに「近江 #920」「#927」「#930」と種類を変えて施工しました。



障子には特厚口紙を使用し、丈夫さと美しさを両立。部屋ごとに少しずつ違う表情を持たせることで、家全体に奥行きと個性が生まれました。
すべての建具を納めたあと、お客様からは「部屋が明るくなった」「昔の家が新築みたい」と嬉しいお言葉をいただきました。
特に縁のない襖は、張替え後に再び高級感を取り戻し、建築当時のこだわりが伝わってくるようでした。
私たちも施工しながら、当時の職人さんや家を建てた方の想いに触れるような気持ちになり、改めて「和室の良さ」を感じる現場でした。

いわき市平 小野畳店






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