ご縁から始まった、少し特別な畳づくり
今回ご紹介するのは、いわき市小名浜でテナントや一流ブティックの内装を数多く手がけている会社様からご相談をいただいた、茶室用畳の製作事例です。
「茶室の畳をお願いできないだろうか」という一本のお問い合わせから、今回の仕事は始まりました。
お打ち合わせを重ねる中で分かったのは、東京のお客様のもとで使用される畳であること、そして4.5帖の茶室畳に加え、にじり口や茶道口用の畳も含めて製作したいというご要望でした。
茶室という特別な空間だからこそ、寸法や仕上がり、使い勝手に至るまで、非常に繊細な配慮が求められます。
当店では、こうした専門性の高いご相談でも、まずは「どのように使われるのか」「どんな点を大切にしたいのか」を丁寧に伺うことを心がけています。
見えない部分にこそ手間をかける、特注ならではの工夫
今回の畳は、
・1760×880×65mm が4枚
・880×880×65mm が3枚(うち1枚は425×425mmの炉施工あり)
という、すべて特注サイズでの製作でした。
さらに「小口(縫い糸)が表から見えないようにしてほしい」「裏面には滑り止めを付けてほしい」という、細かなご要望もありました。
縫い糸を見せずに仕上げるためには、畳縁を裏面まで巻き込む必要があります。そのため今回は、2本の畳縁をミシンでつなぎ、幅を調整するという方法で対応しました。
表面には、品評会受賞歴も多い松田州平さんが手がけた、熊本県産の上質な畳表を使用しています。

1年以上じっくりと貯蔵し、最も長い藺草で織られた「熟成表」は、色合い・香り・耐久性のいずれも申し分ありません。
畳縁には大宮縁「禅 NO.100(藍鉄色)」を合わせ、茶室らしい落ち着きと品格を大切にしました。

「どう使うか」を考えた、軽さへの配慮と柔軟な対応
畳は本来、お部屋に合わせて採寸し、敷き込むことで完成します。
しかし今回は、広い空間の一部に、茶会のときだけ簡易的な茶室を設けるという使い方をされるとのことでした。
そこで重視したのが「軽さ」です。
持ち運びや設営の負担を減らすため、建材床60mmを使用し、置き畳タイプの厚みがありながらも扱いやすい畳として製作しました。
見た目だけでなく、実際に使う方の動きや作業を想像しながら仕様を決めていくことは、畳づくりにおいてとても大切なポイントだと考えています。
今回は敷き込み作業は行わず、指定サイズ通りに製作した畳を依頼元の会社様へ納品して施工完了となりました。そのため完成後の写真はありませんが、こうしたケースも含め、一つひとつのご依頼に真摯に向き合っています。
畳は、暮らしの中だけでなく、特別な場面を支える存在でもあります。
「こんなこと頼めるのかな?」と思われるような内容でも、どうぞ気軽にご相談ください。
私たちは、畳を通して“安心して任せられる存在”でありたいと考えています。



いわき市平 一級技能士のいる熊本県産表専門店小野畳店






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