築100年の平屋が落ち着いた和の空間に。いわき市での畳入れ替え施工事例と「たつあかり・うけあかり」の丁寧な説明

◆いわき市での畳入れ替え施工事例:東京からのご相談がきっかけに

いわき市平中平窪にあるお宅から、6月に障子の貼り替えをご依頼いただいたのが今回のご縁の始まりでした。

その後、「畳の入れ替えもお願いしたい」と再度ご連絡をいただきました。

ご相談をくださったのは、東京在住のご家族様。新盆を迎えるにあたり「障子が思った以上に傷んでしまって…」と、お困りのご様子でお問い合わせいただきました。月に数度いわきへ帰省されるとのことで、遠方からでも安心して任せていただけるよう、工程や日程の説明はいつも以上に丁寧に行わせていただきました。

今回の現場は、築100年以上の歴史ある建物を現在の場所に移築したという、60坪を超える立派な平屋。大国柱や恵比寿柱が堂々と構え、太い梁が天井に渡る、まさに「日本の暮らしの原点」を思わせるお住まいです。

その中の 10帖と12.5帖の二間 の畳替えをご依頼いただきました。

お宅はある団体へ貸し出す予定があるとのことで、借主様のご希望の材料を中心にご提案し、素材選びから仕上がりの雰囲気まで、一緒にイメージを整えながら施工を進めていきました。

◆使用した材料と仕上がりの印象

今回使用したのは以下の材料です。

  • 床材:建材床
  • 畳縁:大宮縁 暮四季Ⅲ #320
  • 畳表:ダイケン健やか表 銀白カラー 引目 #19(胡桃色)

特に胡桃色の畳表は、当店としても初めて施工する色味でしたが、実際に敷き込んでみると、和室の空気にしっとり馴染み、とても落ち着いた印象に仕上がりました。

明るさを控えた深みのある色のため、梁や柱の重厚感と相まって「静かに時間が流れるような和室」に整っていき、私自身も仕上がりを見て思わず息をのみました。

◆お客様からのご質問:「畳の色が縦と横で違うのですか?」

施工後、お客様から

「畳って縦と横で色が違って見えるんですね?」

というご質問をいただきました。

畳をご覧になる際、多くの方が不思議に感じられるポイントです。そこで、現場でも丁寧にお伝えした「たつあかり」「うけあかり」の違いを少しご紹介します。

●たつあかり(縦明かり)

  • 畳表の縦糸が、部屋の入口から奥へ向かうように敷かれる状態
  • 光の入り方によって、やや濃く見えたり、しわっぽく見えることがある
  • 和室特有の陰影を生む表情豊かな見え方

●うけあかり(受明かり)

  • 畳表の向きを入口と直角に敷いた場合
  • 光を柔らかく受け、全体が明るく均一に見える
  • スッキリとした印象の和室に

畳は、敷き方や光の入り方で表情が変わるとても繊細な素材です。

そのため伝統的な和室では、部屋の用途や来客の位置、採光なども考えながら畳の向きを整えています。

「こういった細かな違いも、実際に敷き上がってから説明してくれると安心ですね」とお客様も喜ばれ、私たちも大変うれしい時間となりました。

◆施工を終えて

今回のお宅は建物そのものが持つ存在感が素晴らしく、その空間へ当店の畳が新たな“息”を吹き込めたような、特別な現場となりました。

仕上がった空間を眺めながら、お客様と共に「落ち着きますね」と言葉を交わせたことは、職人として大きな喜びです。

これからも、初めての方でも安心してご依頼いただけるよう、丁寧な説明と誠実な施工を心がけて参ります。

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