いわき市・40年ぶりの畳替え。ご家族の“おかえり”を支える畳の仕事
いわき市常磐湯長谷町にお住まいの、築40年のお宅にお伺いした施工事例をご紹介します。
今回は、70代のご夫婦から「娘が出産で帰ってくるので、12月の20日ごろまでに畳を新しくしたい」とのご相談をいただいたところから始まりました。
ご家族が増える節目に畳を整えたいというご依頼は、私たち畳店としてもとても嬉しいご相談です。「安心して赤ちゃんを迎えられる部屋にしたい」そのお気持ちに寄り添えるよう、丁寧に打ち合わせを進めました。
◆現地調査で見えた“40年の積み重ね”
訪問し畳を確認すると、長年の使用により隙間が少し目立つ状態でした。ご主人からも「この隙間は直せるの?」とご質問がありましたので、実際に畳を一度剥がし、畳床(たたみどこ)の状態をしっかり確認。
乾燥はあるものの表替えで施工することも可能でした。ただ今回は赤ちゃんが過ごすお部屋。ほこりの心配も考慮し、次の2つの方法をご提案しました。
- 畳床からすべて新しくする
- 既存の床材を使い、防虫紙を入れて表替えをする
40年という年月と、これから生まれてくるお孫さんのことを考えられたご主人は「思い切って全部新しくしよう」と即決。
ご家族への思いやりが伝わる、素敵なご決断でした。
◆選んだ素材と施工の流れ
今回は
- 建材床55mm
- 大宮縁 フローレンス210番
- 熊本県産い草 表:松クラス(当店一番人気)
という組み合わせで施工しました。


施工当日は、朝一番で古い畳を剥がして清掃・採寸を行いました。
畳を剥がすと、床下には意外とホコリが溜まっているものです。ご主人も「こんなにあるのか」と驚かれていました。
「片付けがあるので1日で終わらせてほしい」とのご希望だったため、段取りよく進め、夕方には無事納品。
1枚目を部屋に運び入れた瞬間、ご主人が思わずひとこと。
「1枚なのに、こんなにいい匂いがするんだなぁ」
い草の香りは空気を一変させる力があります。
娘さんも「畳ってこんなに青いんだ…!」と、新しい畳の色に驚かれていました。


◆「孫が来るのが楽しみだよ」
すべて納まり、整った和室を見て、ご主人は本当に嬉しそうに目を細めておられました。
「孫が来るのが楽しみだな」
そんな一言を伺うと、こちらまで心があたたかくなりました。
後日、集金に伺った際、玄関を開けてすぐにふわっと漂うい草の香りが迎えてくれました。
奥様は
「癒されますね。隙間もなくぴったり収まっていて、本当にお願いして良かったです」
と笑顔でお話しくださいました。
畳はただの床材ではなく、ご家族の思い出や季節の行事を見守ってきた場所。
今回のご依頼は、ご家族の大切な節目に関わらせていただけた、忘れられない仕事となりました。

いわき市平 一級技能士のいる熊本県産表専門店小野畳店






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